2024年から税制優遇制度「NISA(少額投資非課税制度)」が刷新されます。この新NISAは、恒久化された上に、利用可能枠も拡大するなど大幅に拡大し、非常に使いやすい制度に生まれ変わります。この記事では、新NISAについてまずは大枠から、分かりやすく解説していきます。 |
新NISAとは? いつからスタートするのか?
新NISAとは、2024年から始まる新たな税制優遇制度「NISA(少額投資非課税制度)」のことです。
そもそもNISAは、一定金額の範囲内で購入した金融商品から得られる利益が非課税となる制度です。今までも、NISAを適用させずに金融商品の取引で利益を得ると、通常20%は課税され税金が差し引かれますので、その分は手元に残る利益が少なくなりますが、NISAの適用を受ければ20%分も手元に残すことが可能でした。
もともと英国のISA(個人貯蓄口座=Individual Savings Account)をモデルにしていることもあり、その日本版ということで、NISA(ニーサ、Nippon Individual Savings Account)という愛称がつけられたものです。
岸田政権の大方針として、家計に眠る現預金を投資につなげ、金融資産所得を増やしていくため「資産所得倍増プラン」を発表。その中で、「家計金融資産を貯蓄から投資にシフトさせるNISAの抜本的拡充や恒久化」に言及し、令和5年度与党税制改正大綱により2024年から新NISAが開始されることになりました。
なぜ新NISAは生まれたのか?
現行のNISAは2014年に開始され、口座数は約1790万と国民の7人に1人がNISA口座を保有するに至っています。各世代とも概ね2割程度の方が利用しているものの、一方で利用していない方からは「そもそも投資をする気がない」「制度が複雑である」といった声があり、幅広い中間層による利用が進みづらい状況となっていました。
そこで今回の資産所得倍増プランを受けて、令和5年度税制改正大綱により、これまで時限措置となっていたNISAを恒久化するなど、制度の予見可能性を高めると同時に、できるだけシンプルな制度に改め、中間層を中心とする層の資産形成をさらに促進するため、新NISAとして生まれ変わらせることになりました。
新しいNISAのポイント
- ・非課税保有期間の無期限化
- ・口座開設期間の恒久化
- ・つみたて投資枠と、成長投資枠の併用が可能
- ・年間投資枠の拡大(つみたて投資枠:年間120万円、成長投資枠:年間240万円、合計最大年間360万円まで投資が可能。)
- ・非課税保有限度額は、全体で1,800万円。(成長投資枠は、1,200万円。また、枠の再利用が可能。)
現行NISA、新NISAともに、利用できるのは日本に住む18歳以上の人です。つまり、利用し始めてから、途中で海外赴任するなど日本の非居住者になると、その時点でNISA口座は原則として利用できなくなることには注意が必要です。
そして、現行NISAで2023年12月末まで新規で投資できます(令和5年度税制改正が行われた場合)が、新NISAはその制度が開始される2024年以降、恒久的に利用できることになります。
現行NISAでは非課税で投資できる期間がつみたてNISAでは最長20年、一般NISAでは最長5年と定められていましたが、新NISAでは無期限となります。つまり、10年だろうと、30年だろうと、いつまででも、本来は課税されるべき税金がかからず非課税で投資を継続することができるのです。
これまでの現行NISAでは、つみたてNISAと一般NISAを1年毎に選択して利用する仕組みになっていました。2020年は一般NISA、2021年はつみたてNISA、2022年もつみたてNISAなどといった具合です。そして切り替える場合はその都度、金融機関への変更手続きが必要となっていました。
今回の新NISAでは制度としては1つのNISAとなり、その中で限度額の異なる2つの枠(つみたてNISAの機能を継承する「つみたて投資枠」と、一般NISAの機能を継承する「成長投資枠」)が併存する形になります。つまり、限度額内であれば、どちらの枠をどのように使うことも自由です。
今回は、大枠の紹介までとなりましたが、次回以降の更新では詳細にも触れていければと考えています。
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