9月を迎え、いよいよ児童手当の特例給付廃止まで1ヶ月を切りました。 内閣府によると、児童手当を受け取っている世帯全体の4%にあたる約61万人の児童に影響が出るとされています。中学生以下の子どもがいる世帯に支給されている児童手当は、2022年6月1日施行の改正により、所得制限限度額に加えて所得上限限度額が設けられました。2022年10月から、所得が上限額以上になると児童手当が支給されなくなります。改正内容を解説します。 |
児童手当の概要(2022年9月現在)
児童手当は、「子ども・子育て支援の適切な実施を図るため、父母その他の保護者が子育てについての第一義的責任を有するという基本的認識の下に、家庭等における生活の安定に寄与するとともに、次代の社会を担う児童の健やかな成長に資することを目的として」、0歳から中学校卒業までの児童を養育している世帯に支給されています(内閣府サイトより)。
支給額は下表のとおりです。
なお、「第3子以降」とは、「高校卒業までの養育している児童のうち、3番目以降の子」をいいます。
例えば、子が3人いる世帯で3人目が小学生の場合、第1子が高校生なら第3子の児童手当は15,000円となりますが、第1子が大学生以上なら10,000円となります。
支給されるのは6月、10月、2月の年3回で、それぞれ前月までの4ヵ月分が振り込まれます。
児童手当の支給額
出所:内閣府「児童手当制度のご案内」
児童手当には所得制限あり
児童を養育している人の所得(共働きの場合は多い方)が所得制限限度額以上の場合、児童手当(上表の金額)は支給されず、特例給付として児童1人当たり一律5,000円が支給されます。
所得制限限度額は、年収103万円以下の配偶者と子ども2人を扶養する人の場合で、給与収入960万円が目安となります(扶養親族等の数によって異なります)。
以下、児童手当と特例給付を合わせて「児童手当等」といいます。
2022年10月支給分からの改正内容
2022年10月支給分から新たに「所得上限限度額」が設けられ、所得上限限度額以上の収入がある人には児童手当等が支給されなくなります。
所得上限限度額は、年収103万円以下の配偶者と子ども2人を扶養している人の場合で、給与収入1,200万円が目安となっています。
所得制限限度額、所得上限限度額の詳細は下表のとおりです。
「収入額の目安」は、給与収入のみで計算した場合の目安であり、実際は給与所得控除や医療費控除、雑損控除等を控除した後の所得額で判定されます。
所得制限限度額と所得上限限度額
出所:内閣府「児童手当制度のご案内」
所得制限限度額とは
所得制限限度額とは、ある一定の所得以上あった場合、児童手当が特例給付という形となり、
出生から中学修了までの支給が一律5,000円になるというものです。
所得上限限度額とは
所得上限限度額とは、所得制限限度額を超え、さらにある一定の所得以上あった場合、児童手当が支給されなくなる金額のことです。
また、児童手当等の受給には毎年1回現況届の届出が必要でしたが、2022年度からは原則不要となりました。
2022年10月に開始される児童手当の所得制限について
2022年10月から実施される所得制限は、世帯年収ではなく夫婦いずれかの収入が1200万円を超えると特例給付が支給されなくなる仕組みです。
特例給付とは、児童を養育する人の収入が一定額に達した場合、児童1人当たり月額一律5000円を支給する制度です。
収入額の目安は扶養家族の人数で異なります。例えば扶養家族3人の場合、給与所得が960万円以上になると、児童の年齢にかかわらず月額一律5000円に減額されます。
そして10月からの制度改正では、夫婦いずれかの収入額が所得上限限度額を超えた場合、特例給付も支給停止となります。
例えば夫婦共働きで、夫の年収が1100万円、妻の年収が900万円で世帯年収2000万円でも、いずれも年収1200万円を超えていないので特例給付が支給されます。
しかし夫の年収が1200万円、妻が専業主婦の場合では、夫の年収が所得制限の基準を超えているため支給停止に。
こうした共働きでない世帯が不利益を被る可能性があるため、一方の収入を基準とすることに問題意識が残ります。
児童手当に所得制限を設ける理由
児童手当の所得制限で得られる370億円の公費は、政府が掲げる「新子育て安心プラン」の財源の一部に充てられます。
「新子育て安心プラン」の内容としては、女性の就業率の上昇に対応するため、2021年度~2024年度の間に約14万人分の保育の受け皿を整備することを掲げています。
ちなみに厚生労働省が公表する資料によると、2022年4月時点での待機児童数は2944人(前年比2690人の減少)。
今後の4カ年計画で待機児童ゼロを目指す予定ということです。
児童手当の額は子ども1人あたり年間6万円~18万円、生まれてから15年間となるとそれなりの額になりますが、教育費は長期的・計画的な準備が大切です。
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